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癌に対する機能性成分の効果について、マスコミや学会発表などの第三者からの情報で、検証することを目的としています。

<2019年7月10日更新>

フコイダン

臨床研究・報道から考えるフコイダンの効果・副作用

 フコイダンについて、国際研究データベース(Pubmed※)に掲載された「がん」に関係する研究論文、一般報道から、「効果がある」報告、「効果がない」報告、「副作用」報告を調査しました。それらの報告について、データの信頼性(試験方法など)という観点を交えながら解説していきます。

フコイダンに関するヒト臨床研究情報まとめ

■国際データベースのヒト論文掲載(PubMed)
掲載件数※ 癌への免疫力を高める作用 癌の免疫抑制を軽減する作用 癌闘病時の体力回復作用 抗がん剤に近い作用 効果がなかった 副作用があった
4件
×
×
×
なし なし

※2000年以降、ヒト臨床研究論文の件数
(効果がなかったという報告の論文は除く)

1.国際研究データベースの「ヒト臨床研究」の文献調査結果

「フコイダン」に関して国際研究データベース(2000年以降)に掲載されている、がん患者の方を対象とした研究の特徴は以下の3点と思われます。

  1. がん患者の方を対象としたヒト臨床試験の研究成果が4件(表1参照)登録されており、これは今回調べた8素材の中で5番目に多いこと。
  2. 2017年に無作為二重盲検臨床試験(表1のNo3)というエビデンス(科学的根拠)の高い研究論文が登録されていること。
  3. 日本だけでなくオーストラリアや台湾など様々な国で研究が行われていること。

今回調べた機能性成分の中では、研究論文はあまり多くないものの、アガリクスシイタケ菌糸体同様に無作為二重盲検臨床試験という質の高い研究がおこなわれている素材だと言えます。(他の成分との比較は「コチラ」からできます。)

■フコイダン関連のヒト臨床研究報告<要約>

表1:フコイダンのがん患者対象のヒト臨床試験(2000年以降)2019年6月作成

No タイトル・文献・PubMed№ 解説 信頼度
01 乳がん患者におけるレトロゾール、タモキシフェンとフコイダンの相互作用
2018年 Integr Cancer Ther.誌
<PubMed №28008779:英文はコチラ>
【オーストラリア】
対象:ホルモン療法薬(レトロゾールあるいはタモキシフェン)を服用中の乳がん患者
内容:フコイダンを同時投与すると、レトロゾールあるいはタモキシフェンの定常状態血漿濃度に有意な変化は認められなかった。また、フコイダンの副作用も認められなかったとの報告。
<日本語詳細はコチラ>
02 進行がん患者のQOLとフコイダンの抗炎症作用に関する予備的研究
2017年 Integr Cancer Ther.誌
<PubMed №28627320:英文はコチラ>
【日本】
対象:進行がん患者
内容:フコイダンを摂取すると、主要な炎症性サイトカインが2週間後に有意に減少し、疲労を含むQOLスコアは試験期間中に有意な変化はなくほぼ安定していたという報告
<日本語詳細はコチラ>
03 転移性大腸がん患者における補足療法としてのフコイダンの効果
2017年 Mar Drugs.誌
<PubMed №28430159:英文はコチラ>
【台湾】
対象:転移性大腸がん患者
内容:標的化学療法剤とフコイダンを併用すると、疾患制御率(DCR)が有意に改善した。一方、全奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副作用(AE)、生活の質(QOL)では有意差は認められなかったという報告
<日本語詳細はコチラ>
★★★
04 切除不能な進行性または再発性の大腸がん患者の化学療法の毒性を軽減するフコイダンの効果
2011年 Oncol Lett.誌
<PubMed №22866084:英文はコチラ>
【日本】
対象:切除不能な進行性または再発性の大腸がん患者
内容:化学療法に併用してフコイダンを摂取すると、化学療法中の疲労発生を制御することを示す結果が得られたとの報告
<日本語詳細はコチラ>

※Pubmedよりシーエムシー翻訳・作成

フコイダンの研究内容について、特に注目される点は以下の3点です。

  1. 研究レベルでは、表1の3:無作為二重盲検臨床試験による「転移性大腸がん患者における補足療法としてのフコイダンの効果」の研究です。これは、★を3つつけている通り、医薬品の臨床試験でも行われる信頼性の高い試験方法になります。

    ※二重盲検とは、患者さんを2つのグループに分けて、本物のフコイダンと偽薬(プラセボ)を、それぞれ飲んでもらう試験方法です。命の危険があるがん患者さんに、「機能性成分」で「偽薬(プラセボ)」を飲む可能性もある無作為二重盲検臨床試験を実施できたのは、それだけ研究者や医師、患者さんの「フコイダン」への期待が大きかったためと考えられます。
  2. 研究内容としては、やはり表1の3の無作為二重盲検臨床試験の疾患制御率(DCR)が有意に改善したことが注目されます。疾患制御率(DCR)とは、完全奏効(CR)と部分奏効(PR)に腫瘍の大きさが変化しない状態である安定(SD)を加えた割合のことです。全奏効率(完全奏効+部分奏効)では有意な差がでなかったという報告なので、腫瘍の大きさの安定(SD)で有意差が認められたということだと思います。
  3. 4件中2件は、「QOL」に関する研究になっています。QOLスコアが安定したという報告(表1の2)と、QOLでの有意差はなかったという報告(表1の3)があります。今後、さらなる研究がまたれるところです。QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは、「生活の質」と訳します。治療中に、薬の副作用や病気による不調などで「活力」や「幸福感」が損なわれずにいられるかを調べる指標です。
■フコイダンの主要研究企業

国内でフコイダンの研究を発表している主な企業・団体は、シオノギ製薬とNPOフコイダン研究所です。

研究企業名 研究内容
シオノギ製薬株式会社>> ・2019年1月からタカラバイオグループが行う健康食品事業を継承
・一般用医薬品、医薬部外品、管理医療機器、健康食品などのヘルスケア商品の開発・製造販売

論文・学会発表一覧「フコイダン 研究論文・学会発表>>」で確認できる。
NPOフコイダン研究所>> ・2003年に設立 ・鹿児島大学および九州大学と、フコイダンの持つ抗がん作用及びその他効能について、共同で各種実験、研究を行っている。

論文・学会発表一覧「フコイダン学会発表・論文>>」で確認できる。

 繰り返しになりますが、フコイダンは、無作為二重盲検試験というエビデンスの高い臨床試験を実施した機能性成分の1つです。ちなみに、今回調べた素材では、★3の無作為二重盲検臨床試験はフコイダン以外に、アガリクスシイタケ菌糸体でも同様の研究が発表されています。是非、他の機能性成分の研究成果とも比較してみてください。 ちなみに、今回調べた素材では、★3の無作為二重盲検臨床試験はフコイダン以外に、アガリクスシイタケ菌糸体でも同様の研究が発表されています。他の機能性成分の研究成果とも比較してみてください。

2.新聞・専門誌の文献調査結果

 次に、フコイダンに関する報道について調査しました。調査対象は、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、共同通信とがん専門誌「がんサポート」「がんの先進医療」、学会誌に絞っています。
注目される報道は、以下の3点です。

  1. 記事になっているフコイダンには「もずく由来フコイダン」「がごめ昆布フコイダン」「低分子フコイダン」の3種類が存在しています。それぞれ研究結果が異なるので、くわしくチェックすることが大切になります。
  2. 水産加工販売の海産物のきむらやの記事が3件と最も多くなっています。鳥取大学との共同研究も実施しています。調べた範囲でも、2007年から継続的に研究発表を続けています。
  3. 学会発表で、低分子フコイダンの「探索的検討」の報告という記事が2件あります。探索的検討とは、仮説を定めず、得られた結果から帰納的にどのような効果があったかを導き出す方法です。
■フコイダンに関連した研究ニュース

表2:フコイダン関連の研究ニュース(2007年以降)2019年6月作成

No タイトル・内容(発行日、紙面名) 解説 種類
01 境港でセミナー「フコイダン」研究成果紹介

(2016/9/24 共同通信(日本海新聞))
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、「産学連携による健康食品の機能性研究」をテーマにしたセミナー(鳥取大、鳥取銀行主催)が、境港市渡町の海産物のきむらやで開かれ、同社が鳥取大などと連携して取り組む機能性物質「フコイダン」に関する研究成果を紹介。これまでの研究で抗がん作用や抗がん剤の副作用軽減、アルコール飲料の風味改善などフコイダンにさまざまな効用があることが分かり、サプリメントなどとして商品化するとともに、iPS細胞の培養研究にも取り組んでいるとのこと。 その他研究
02 免疫の状態をよくすることでがんの闘病を支える補完代替医療に期待の臨床研究の紹介記事

(2016/1/30 がんの先進医療)
フコイダンががん治療を終えた患者の免疫活性に関する紹介記事が掲載>>>>
記事によると、シイタケ菌糸体をさまざまながん種の患者が摂取した結果、QOLを改善することが確認されたこと、またガゴメ昆布フコイダンを抗がん剤治療を終えた患者が摂取した結果、NK活性が低い人に限ると、NK活性が有意に向上するとのこと。 ヒト臨床研究
03 進行癌患者における低分子フコイダンの抗炎症作用の研究の学会発表

(2015/12/3 日本バイオセラピィ学会)
記事・関連情報のリンクはありません。
学会演題情報によると、日本バイオセラピィ学会において、進行がん患者における低分子フコイダン(LMF)の抗炎症作用に関する探索的検討が報告されたとのこと。 ヒト臨床研究
04 進行癌患者における低分子フコイダンによる抗炎症作用の研究の学会発表

(2015/10/8 日本癌学会)
記事・関連情報のリンクはありません。
学会演題情報によると、日本癌学会において、進行がん患者における低分子フコイダンの抗炎症作用に関する探索的検討が報告されたとのこと。 ヒト臨床研究
05 フコイダン 制がん剤副作用を抑制
鳥大・池口教授と海産物のきむらや 米国で特許取得

(2015/4/29 共同通信(日本海新聞))
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、鳥取大医学部の池口正英教授(病態制御外科学分野)と、水産加工販売の海産物のきむらやの共同研究グループは、海藻に含まれるフコイダンに制がん剤の副作用を抑える効果があることを立証し、米国で特許を取得したと発表。大腸がん患者による臨床試験で、制がん剤治療を受ける患者の倦怠(けんたい)感を抑える効果があったとのこと。 ヒト臨床研究
06 「がん細胞消滅」 高額な健康食品、無許可販売容疑で逮捕

(2014/10/1 朝日新聞 朝刊)
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、医療品販売の許可を得ず、がんに効くなどとして健康食品を売ったとして、健康食品販売会社の社長を薬事法違反(無許可医薬品販売など)の容疑で逮捕。「がん細胞を消滅させる」と記載された「パーフェクトフコイダン」14個を計約52万円で販売した疑いとのこと。 その他研究
07 がん治療にフコイダン

(2009/12/16 共同通信(沖縄タイムス))
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、モズクなどの海藻に含まれる「フコイダン」をがん治療に取り入れている天願勇・統合医療センタークリニックぎのわん院長が、那覇市ぶんかテンブス館で講演。「がん治療の鍵」と題し、患者の生活の質を落とさない療法の重要性や、低分子フコイダンの飲用で免疫力が高まる事例を紹介。低分子フコイダンの効果として、(1)がん細胞のみを自然死に導くアポトーシス誘導(2)がん細胞の栄養補給血管新生の抑制(3)免疫力増強-を上げ、「がん細胞に栄養がいかぬようブロックする働きがある。がん細胞は縮小、または大きくならない」とのこと。 ヒト臨床研究
08 モズクフコイダンの抗癌剤副作用抑制作用に関する記事

(2007/12/16 産経新聞)
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、海産物のきむらやが鳥取大学と共同で発見した、モズク由来フコイダンの抗癌剤副作用軽減作用について特許出願したとのこと。 その他研究

本サイトでは記事全文は著作権があり掲載できません。全文を見たい場合は、大きな図書館で過去の記事が見られることもあります。

3.国際研究データベースの「動物試験」の文献調査結果

 フコイダンは「動物試験」の研究論文が豊富にあります。疾病分野においては、ヒトで試験する前に動物試験や細胞試験などの基礎研究において、安全性や有用性が認められることが重要となります。ただし、動物試験で効果があるという結果でも、ヒトでも同様の効果や作用があるかはわかりません。同じ効果があるかはヒト臨床試験の結果が待たれます。そこは念頭においた上で読んでください。

 注目されるのは、近年の研究で温熱化学療法(No2)や熱赤外線療法(No3)、放射線療法(No5)などの治療方法との組み合わせ研究が多い点です。これらの治療方法とフコイダンの併用の可能性が示唆されています。

また、近年は盛んに動物研究が行われており、他の素材との複合成分での効果の報告が増えています。

■フコイダン関連の動物研究報告<要約>

表3:フコイダン関係の動物試験(直近5件)2019年6月作成

No タイトル・文献・PubMed№ 解説
01 転移前ニッチ調節および腫瘍転移抑制を目的としたメトホルミンとドコサヘキサエン酸のハイブリッドミセルについて
2019年 Nano Lett.誌
<PubMed №31026397:英文はコチラ>
【中国】
対象:乳房担癌マウス
内容:低毒性抗炎症物質(メトホルミンとドコサヘキサエン酸)をフコイダンでコーティングし、ミセル(微粒子)化したものを投与した。その結果、転移前ニッチにおけるマーカータンパク質の異常発現を逆転させたという報告
<日本語詳細はコチラ>
02 遠隔転移を伴う肝細胞癌の治療のためのP‐セレクチン仲介薬剤送達を介したマイクロ波応答ナノプラットフォームについて
2019年 Nano Lett.誌
<PubMed №30929452:英文はコチラ>
【中国】
対象:肝細胞担癌マウス
内容:薬剤(ドキソルビシン)をフコイダンで修飾したナノリポソームを投与すると、温熱化学療法の治療効果を増強する可能性を示唆したという報告
<日本語詳細はコチラ>
03 癌治療用の高効率近赤外光熱剤としての金ナノロッドのキトサン/フコイダン多層コーティングについて
2019年Carbohydr Polym.誌
<PubMed №30824100:英文はコチラ>
【韓国】
対象: 担癌マウス
内容:フコイダンとキトサンを金属粒子でコーティングした混合物を熱赤外線療法に併用すると、抗腫瘍効果が確認されたという報告
<日本語詳細はコチラ>
04 フコイダン化合物剤のin vitroおよびin vivo免疫調節作用について
2019年 Int J Biol Macromol.誌
<PubMed №30593813:英文はコチラ>
【中国】
対象:マウス
内容:フコイダン化合物剤を投与すると、免疫力が改善したという報告
<日本語詳細はコチラ>
05 フコイダン-二酸化マンガンナノ粒子は腫瘍低酸素と血管新生とを同時に標的とすることにより放射線療法を増強する
2018年Mar Drugs.誌
<PubMed №30558324:英文はコチラ>
【韓国】
対象:膵臓癌保有マウス
内容:フコイダンと二酸化マンガンナノ粒子の複合体を投与すると、放射線療法の感受性を高めたという報告
<日本語詳細はコチラ>

※Pubmedよりシーエムシー翻訳・作成

参考:がんに関するヒト臨床・動物研究情報<詳細>

 以下は、pubmedから検索した論文のまとめ部分の翻訳になります。なるべく原文と同じ意図で翻訳をしています。Pubmedの原文もリンクしたので合わせてご参照ください。

■フコイダン関連のヒト臨床研究報告<詳細>

表4:フコイダン関連のがん患者対象のヒト臨床試験(2000年以降)2019年6月作成

No タイトル・文献・PubMed№ 解説 信頼度
01 乳がん患者におけるレトロゾール、タモキシフェンとフコイダンの相互作用
2018年 Integr Cancer Ther.誌
<PubMed №28008779:英文はコチラ>

執筆者:
Tocaciu S
Royal Hobart Hospital, Hobart, Tasmania, Australia.

Oliver LJ
Lowenthal RM
Peterson GM
Patel R
Shastri M
McGuinness G
Olesen I
Fitton JH
背景:
補完代替医療ががん患者の間で広まっているが、その利点の臨床的証拠はわずかである。さらに、抗がん治療との併用は安全であると広く考えられているものの、相互作用の可能性を調べる研究はほとんど行われてこなかった。フコイダンは、海洋褐藻から得られる硫酸化多糖の一種で、抗がん作用をはじめとする薬効が報告されているため、長年にわたって栄養補助食品として使用されてきた。本研究の目的は、乳がん患者において広く使用されている2つのホルモン療法薬(レトロゾールとタモキシフェン)の薬物動態に対するわかめ由来フコイダンの同時投与の効果を調べることであった。

方法:
本試験はレトロゾールあるいはタモキシフェンを服用中の活動性悪性腫瘍患者を対象にしたオープンラベル非交差試験であった(各群n=10)。患者はフコイダンをMaritech抽出物の形で3週間(500mgを1日2回)経口服用した。ベースライン時およびフコイダンの同時投与後に、レトロゾール、タモキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、エンドキシフェンの血漿トラフ濃度をHPLC-CAD(コロナ荷電化粒子検出器付高速液体クロマトグラフ)を用いて測定した。

結果:
フコイダンとの同時投与後のレトロゾール、タモキシフェン、タモキシフェン代謝産物の定常状態血漿濃度に有意な変化は認められなかった。さらに、フコイダンの副作用は報告されておらず、毒性モニタリングでは、試験期間中に測定されたパラメータすべてに有意な相違はみられなかった。

結論:
ワカメフコイダンの投与は、レトロゾールあるいはタモキシフェンの定常状態トラフ濃度に有意な影響はなく、忍容性は良好であった。これらの結果は、本研究で使用した形態および用量のフコイダンを臨床的に有意な相互作用のリスクなく、レトロゾールおよびタモキシフェンと同時併用しうることを示唆する。
02 進行がん患者のQOLとフコイダンの抗炎症作用に関する予備的研究
2017年 Integr Cancer Ther.誌
<PubMed №28627320:英文はコチラ>

執筆者:
Takahashi H
University of the Ryukyus Hospital, Nakagami-gun, Okinawa, Japan.
Seren Clinic Fukuoka, Fukuoka, Japan.
Clinic Ginowan, Ginowan-shi, Okinawa, Japan.

Kawaguchi M
Kitamura K
Narumiya S
Kawamura M
Tengan I
Nishimoto S
Hanamure Y
Majima Y
Tsubura S
Teruya K
Shirahata S
背景:
従来の抗がん療法では依然として がん細胞の選択的な根絶は難しく、また患者の生活の質(QOL)を低下させる副作用の併発という困難が伴う。海草から抽出されたフコイダンが抗がんおよび抗炎症特性をはじめとする広範な生物活性を有することは基礎研究ですでに示されている。がん患者で治療効果を高め、副作用を最小限に抑えることが期待されている。しかし、その秘められた効用にもかかわらず、フコイダンを使用した臨床試験はほとんどない。そこで、フコイダンの有効性、特にQOLスコアと関連する炎症に焦点を当てて調べるため進行がん患者に対する探索的臨床研究を行った。

方法:
進行がん患者を対象にフコイダンの経口投与による前向きオープンラベル臨床試験を実施した。転移のある進行がん患者20名を募集し、フコイダン400mL/d(10mg/mL)を少なくとも4週間投与した。高感度CRPおよび種々のサイトカインなどの炎症バイオマーカーおよびQOLスコアを投与前、フコイダン摂取2週間後および4週間後に観察した。

結果:
インターロイキン-1β(IL-1β)、IL-6、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)をはじめとする主要な炎症性サイトカインは、フコイダン摂取の2週間後に有意に減少した。疲労を含むQOLスコアは、試験期間中に有意な変化はなくほぼ安定していた。単変量および多変量解析により、IL-1βの応答性は重要な独立予後因子であることが明らかにされた。

結論:
本試験は進行がん患者に対するフコイダンの抗炎症効果の証拠を提示する初の研究である。今後は、がん患者、特に化学療法を受けている患者の支持療法としてのフコイダンの有効性を確立するため、より規模の大きい盲検比較対照試験が必要である
03 転移性大腸がん患者における補足療法としてのフコイダンの効果
2017年 Mar Drugs.誌
<PubMed №28430159:英文はコチラ>

執筆者:
Tsai HL
Division of Colorectal Surgery, Department of Surgery, Kaohsiung Medical University Hospital, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan.
Department of Surgery, Faculty of Medicine, College of Medicine, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan.

Tai CJ
Huang CW
Chang FR
Wang JY
背景:
低分子フコイダン(LMF)はがん患者の保健食品として広く使用されている。しかし、研究のすべてはインビトロまたはマウスを用いて行われた。したがって、LMFの使用に関する強力な臨床的証拠は比較的少ない。本研究は、転移性大腸がん(mCRC)患者における標的化学療法剤の補足療法としてのLMFの有効性を評価することを目的とした。

方法:
転移性大腸がん(mCRC)患者に対する標的化学療法剤の補足療法としてのLMFの有効性を評価するため二重盲検無作為化比較対象前向き試験を行った。適格mCRC患者60名が含まれた。最終的に54名の患者が参加し、うち28名を実験群、26名を対照群とした。主要評価項目は疾患制御率(DCR)で、副次評価項目は全奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副作用(AE)、生活の質(QOL)であった。

結果:
実験群および対照群のDCRはそれぞれ92.8%と69.2%であり(p=0.026)、追跡期間中央値は11.5ヶ月であった。OS、PFS、ORR、AE、QOLには両群間で有意差を認めなかった。

結論:
本研究は、mCRC患者の管理における補足療法としてのLMFの有効性を評価した初の臨床試験である。本研究結果は、標的化学療法剤とLMFの併用がDCRを有意に改善したことを示している
★★★
04 切除不能な進行性または再発性の大腸がん患者の化学療法の毒性を軽減するフコイダンの効果
2011年 Oncol Lett.誌
<PubMed №22866084:英文はコチラ>

執筆者:
Ikeguchi M
Department of Surgery, Division of Surgical Oncology, Faculty of Medicine, Tottori University, Yonago 683-8504.

Yamamoto M 
Arai Y 
Maeta Y 
Ashida K 
Katano K 
Miki Y 
Kimura T
オキサリプラチンと 5-フルオロウラシル/ロイコボリン(FOLFOX)、またはイリノテカンと 5-フルオロウラシル/ロイコボリン(FOLFIRI)を併用する化学療法は、進行性あるいは再発性大腸がんの標準治療となっている。FOLFOXまたはFOLFIRIの長期使用がこうした患者の生存率を向上させるという研究報告は数多くある。従って、これらの薬剤の毒性を制御することは、生存期間延長にきわめて重要であろう。フコイダンは、褐藻類の主要な硫酸化多糖類の1つであり、幅広い生物学的活性を示す。本研究では、抗がん剤の毒性抑制に対するフコイダンの効果を分析した。FOLFOXまたはFOLFIRIによる治療を受ける予定の切除不能な進行または再発大腸がん患者20名を、フコイダン治療群(n=10)とフコイダン治療なしの対照群(n=10)に無作為に振り分けた。フコイダンが化学療法中の疲労発生を制御することを示す結果が得られた。フコイダン併用の化学療法は非併用化学療法よりも長期間継続された。さらに、フコイダン治療群の患者の生存期間はフコイダン非使用群よりも長かったが、有意差は認められなかった。このことから、フコイダンは切除不能な進行または再発大腸がん患者に対する化学療法薬の連続投与を可能にし、その結果、そうした患者の予後が延長するとみられる。

※Pubmedよりシーエムシー翻訳・作成

■フコイダン関連の動物研究報告<詳細>

表5:フコイダン関連の動物試験(直近5件)2019年7月作成

No タイトル・文献・PubMed№ 解説
01 転移前ニッチ調節および腫瘍転移抑制を目的としたメトホルミンとドコサヘキサエン酸のハイブリッドミセルについて
2019年 Nano Lett.誌
<PubMed №31026397:英文はコチラ>

執筆者:
Jiang T
Key Laboratory of Smart Drug Delivery, Ministry of Education, School of Pharmacy , Fudan University , Lane 826, Zhangheng Road , Shanghai 201203 , PR China.

Chen L
Huang Y
Wang J
Xu M
Zhou S
Gu X
Chen Y
Liang K
Pei Y
Song Q
Liu S
Ma F
Lu H
Gao X
Chen J
転移は癌患者の高死亡率の主原因である。したがって、癌治療においては転移過程を阻止することが極めて重要となる。炎症に関連する異常変化を伴う特殊微小環境である転移前ニッチは、循環腫瘍細胞(CTC)のコロニー形成を可能にし、転移予防の標的となりうる。しかし、転移前ニッチを修正するためのナノ医療の開発には、ほとんど力が注がれてこなかった。本研究は、転移前微小環境の調節および腫瘍転移抑制のための転移前ニッチ標的ミセルについて報告する。当該ミセルは2種の低毒性抗炎症物質(メトホルミンとドコサヘキサエン酸)のオレイン酸炭素鎖誘導体で自己組織化され、転移前ニッチ標的化のためにフコイダンでコーティングされている。こうして得られた官能基化ミセル(FucOMD)は、優れた血中循環プロファイルと転移前部位標的効果を有し、活性化内皮細胞へのCTC接着を阻害し、肺血管透過性を低下させ、転移前ニッチにおける主要マーカータンパク質の異常発現を逆転させる。その結果、FucOMDは標的化学療法と組み合わせれば、転移形成を防ぎ、原発腫瘍の増殖および転移形成の両方を効率的に抑制する。まとめると、本研究の知見は、標的型抗炎症薬による転移前ニッチの調節が腫瘍転移抑制のための強力な土台と安全な並進治療選択肢を提供するという見解を裏付ける
02 遠隔転移を伴う肝細胞癌の治療のためのP‐セレクチン仲介薬剤送達を介したマイクロ波応答ナノプラットフォームについて
2019年 Nano Lett.誌
<PubMed №30929452:英文はコチラ>

執筆者:
Xu J
Department of Interventional Ultrasound , Chinese PLA General Hospital , Beijing 100853 , China.
CAS Key Laboratory of Cryogenics, Technical Institute of Physics and Chemistry , Chinese Academy of Sciences , Beijing 100190 , China.
State Key Laboratory of Kidney Disease , Chinese PLA General Hospital , Beijing 100853 , China.

Cheng X
Tan L
Fu C
Ahmed M
Tian J
Dou J
Zhou Q
Ren X
Wu Q
Tang S
Zhou H
Meng X
Yu J
Liang P
転移性疾患を伴う肝細胞癌(HCC)は、臨床現場での低生存率と関係がある。肝切除、移植、熱焼灼をはじめとする多くの治療選択肢は局所的には有効であるが、遠隔転移のある患者には効果は限定的である。本研究では、HCC治療法の開発のために、P-セレクチン標的化送達およびマイクロ波(MW)応答薬物放出の有効性、特異性、安全性を調べた。ドキソルビシン(DOX)とMW増感剤(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-1-ラクテート、BML)をフコイダン共役リポソームナノ粒子(TBP @ DOX)内に封入することにより、同所性HCCおよび肺転移においてMW照射補助療法でDOXの特異的蓄積と顕著な放出があった。この結果、非標的化BP @ DOXよりも1.95倍、非刺激応答性TP @ DOXよりも1.6倍高いだけでなく、10倍用量の遊離DOXによる治療に等しい同所性HCC増殖阻害効果がみられた。さらに、遠隔肺転移に対する最適な抗癌効果および生存期間延長につながる広範囲播種予防効果も認められる。また、従来のDOX化学療法においては代謝に係る有害事象がよく見られるが、TBP @ DOXナノ送達システムの使用ではそうした事象は認められない。よって、MW照射とともにTBP @ DOXを投与することは、HCCの温熱化学療法、特に進行期における治療効果を増強する可能性がある。
03 癌治療用の高効率近赤外光熱剤としての金ナノロッドのキトサン/フコイダン多層コーティングについて
2019年Carbohydr Polym.誌
<PubMed №30824100:英文はコチラ>

執筆者:
Manivasagan P
Marine-Integrated Bionics Research Center, Pukyong National University, Busan 48513, Republic of Korea.

Hoang G
Santha Moorthy M
Mondal S
Minh Doan VH
Kim H
Vy Phan TT
Nguyen TP
Oh J
キトサン/フコイダンで多層コーティングした金ナノロッド(CS/F-GNR)を使用する光熱療法(PTT)が、癌治療の代替戦略として浮上してきた。本研究では、生体適合性と光安定性に優れ、近赤外線(NIR)領域での吸収性が高いことから、生体適合性CS/F-GNRをin vivo癌治療の新世代光熱治療薬として合成した。CS / F-GNRは良好なサイズ分布(51.87±3.03 nm)を示し、5分間のレーザー光照射(1.0 W/cm 2)後にCS/F-GNRの温度変動は54.4°C増加した。CS/F-GNRのin vitro光熱効率は、5分間の1.0 W/cm2のレーザー光照射時よりも死滅癌細胞数が有意に多いことを示した。処置20日目には、レーザーを照射したCS/F-GNR処置マウスでMDA-MB-231腫瘍細胞がほぼ完全に消失した。したがって、生体適合性CS/F-GNRは今後の癌治療において、安全かつ効果の高い近赤外光熱剤として大いに期待できる。
04 フコイダン化合物剤のin vitroおよびin vivo免疫調節作用について
2019年 Int J Biol Macromol.誌
<PubMed №30593813:英文はコチラ>

執筆者:
Peng Y
College of Food Science and Engineering, Dalian Ocean University, Dalian 116023, China.

Song Y
Wang Q
He Y
Ren D
Wu L
Liu S
Cong H
Zhou H
褐藻類から抽出されたフコイダンは多様な生物活性を示す。本研究では、フコイダンを漢方薬草抽出物と混合し、2つのフコイダン化合物剤についてin vitroおよびin vivo免疫調節効果を評価した。その結果、Kjellmaniella crassifolia(KF)とUndaria pinnatifida(UF)由来のフコイダンは硫酸化多糖類であり、Astragalus多糖類(AP)はα‐d‐グルコースで構成され、Codonopsis pilosula多糖類(CPP)はフラノースであることが示された。さらに、フコイダン化合物剤はin vitroでRAW264.7マウスマクロファージ細胞の増殖を促進するとともに、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)および腫瘍壊死因子−α(TNF-α)の分泌を増強した。さらに、KCA(KF + AP + CPP) とCは、BALB/cマウスの非特異的免疫および特異的免疫を改善しうる。フコイダン化合物剤はin vivoでGM-CSF、TNF-α、インターロイキン(IL)-4、IL-10の分泌も増加させた。よって、フコイダン化合物剤の補助免疫賦活剤としての開発が有望であることを確認した。
05 フコイダン-二酸化マンガンナノ粒子は腫瘍低酸素と血管新生とを同時に標的とすることにより放射線療法を増強する
2018年Mar Drugs.誌
<PubMed №30558324:英文はコチラ>

執筆者:
Shin SW
Department of Radiation Oncology, Samsung Medical Center, Seoul 06351, Korea. camuserik@gmail.com.
School of Medicine, Sungkyunkwan University, Seoul 06351, Korea. camuserik@gmail.com.

Jung W
Choi C
Kim SY
Son A
Kim H
Lee N
Park HC
腫瘍内低酸素状態は、放射線治療(RT)抵抗性の主要メカニズムであり、癌罹患患者における予後不良と関連する。膵臓癌をはじめとする低酸素・放射線抵抗性癌に対する様々な治療手段の効果は限定的であった。褐藻由来の多糖類であるフコイダンは、抗腫瘍作用および抗血管形成作用を有する。ここでは、フコイダンコーティングの二酸化マンガンナノ粒子(Fuco-MnO2-NP)の開発と膵臓癌モデルを用いたRTの有効性検証について論じる。in vitroデータは、Fuco-MnO2-NPがH₂O₂の存在下で効率的に酸素を発生させ、ヒト膵臓癌細胞において低酸素環境下でHIF-1発現を大幅に抑制することを示した。Fuco-MnO2-NPはRTに応答して、クローン形成生存率を低下させるとともにDNA損傷およびアポトーシス細胞死を増加させ、低酸素誘導の放射線抵抗性を逆転させた。BxPC3異種移植マウスモデルにおいて、Fuco-MnO₂-NPとRTとの併用治療はRT単独に比べ、大きな腫瘍増殖遅延をもたらした。リン酸化血管内皮増殖因子受容体2 (VEGFR2)およびCD31の発現減少という免疫組織化学データから判断されるように、フコイダンコーティングNP(非コーティングのものではなく)は腫瘍血管形成をさらに抑制した。これらのデータは、Fuco-MnO2-NPが腫瘍低酸素と血管新生の両方を標的とすることでRTの効果を増強しうることを示唆しており、低酸素放射線抵抗性膵臓癌の治療において大きな臨床的可能性を有する。

※Pubmedよりシーエムシー翻訳・作成

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