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癌に対する機能性成分の効果について、マスコミや学会発表などの第三者からの情報で、検証することを目的としています。

<2018年7月31日更新>

サメ軟骨

サメ軟骨の効果・副作用の研究成果

サメ軟骨とは? 文字通り、サメの軟骨成分です。
「サメはがんにかからない」という報告から「ヒトのがんを防ぐのではないか」と研究されてきました。
1990年代に、主に米国・カナダで、「腫瘍に栄養を運ぶ 血管を作るのを抑える」成分が含まれるとして、医薬品としての開発が進められていました。
実際に、大規模な臨床試験が海外で実施されましたが、結果が現在までのところ芳しくなく、開発は進んでいないのが現状です。
ちなみに、実際にはサメも「腎臓がん」などにかかることが、その後の研究で明らかになっています。
国際データベースには、日本企業の研究報告はありません。

サメ軟骨に関するヒト臨床研究情報まとめ

■国際データベースのヒト論文掲載(PubMed)
掲載件数※ 癌への免疫力を高める作用 癌の免疫抑制を軽減する作用 癌闘病時の体力回復作用 抗がん剤に近い作用 効果がなかった 副作用があった
1件
×
×
×
あり なし

※2000年以降、ヒト臨床研究論文の件数
(効果がなかったという報告の論文は除く)

1.がんに関するヒト臨床研究情報<要約>

■サメ軟骨関連のヒト臨床研究報告<要約>

ヒト臨床試験とは、健康食品やサプリメントなどについて、その有用性や安全性を科学的かつ客観的に示すためのエビデンス(科学的根拠)を取得するために、ヒト(人間)を対象に行う試験のことです。

タイトル・文献・PubMed№ 解説 信頼度
ステージⅢ非小細胞肺癌患者への化学放射線療法との併用による全生存期間への効果
(効果がなかったという報告)
2010年 J Natl Cancer Inst. 誌
<PubMed № 20505152:英文はコチラ>
米国で、ステージⅢ非小細胞肺癌で化学放射線療法を受けている患者を対象に大規模な二重盲検試験を実施し、水性サメ軟骨抽出物AE-941を併用させプラセボ併用群と比較したところ、全生存期間を改善しなかったため、肺癌の治療薬としてのサメ軟骨由来製品の使用を支持しないという報告です。
<日本語詳細はコチラ>
★★★
進行がん患者におけるサメ軟骨の評価
(効果がなかったという報告)
2005年 Cancer誌
<PubMed № 15912493:英文はコチラ>
米国で、進行乳癌/大腸がん患者を対象にした研究で、有効性を認められなかったという報告があります。
<日本語詳細はコチラ>
★★★
ネオバスタットの腎がん患者へのフェーズII試験
2002年 Ann Oncol
<PubMed № 12181250:英文はコチラ>
※ネオバスタットとは、カナダの企業が、サメ軟骨から抽出した成分の名称です。
カナダで、腎細胞がん患者を対象にした研究で、生存期間が延長できる可能性があるという報告があります。
<日本語詳細はコチラ>
進行がん患者へのサメ軟骨の安全性と有効性
(効果がなかったという報告)
1998年 J Clin Oncol
<PubMed № 9817287:英文はコチラ>
米国で、進行がん患者にサメ軟骨を服用させたところ、抗腫瘍効果は認められなかったという報告があります。
<日本語詳細はコチラ>

※PubmedよりeSURVEY翻訳・作成

■サメ軟骨関連の研究ニュース
タイトル・内容(発行日、紙面名) 解説
サメ軟骨のがん患者への臨床試験で
有用性が確認できなかったこと関する記事
(2007/07/16 産経新聞)

関連リンク:米国臨床腫瘍学会(ASCO)からの報告概要紹介(英語)>>
記事によると、テキサスA&M大学が米国臨床腫瘍学会(ASCO)でサメ軟骨のエキスは、非小細胞肺がんの患者の延命には無効とする発表を行ったとのこと
サメ軟骨のがん患者への臨床試験で
有用性が確認できなかったこと関する記事
(2005/05/24 共同通信)


関連リンク:米国医学誌キャンサーからの論文概要紹介(英語)>>
記事によると、米メイヨークリニックなどのグループが米医学誌キャンサーに進行がん患者を対象とした試験で、サメ軟骨による効果が確認できなかったことを報告したとのこと
■サメ軟骨の主要研究企業
研究企業名 研究内容
癌の患者さんを対象にしたサメ軟骨の主要研究企業は、調査した範囲ではありませんでした。

2.がんに関する動物研究情報<要約>

動物試験とは、医学研究などのために、ネズミ・モルモット・ウサギ・イヌ・ネコなどの小動物を用いて行う試験のことです。
この試験は、ヒト臨床試験を科学的かつ倫理的に適正に行うために必要な科学的知見を、事前に収集するために行っています。

■サメ軟骨関連の動物研究報告<要約>
タイトル・文献・PubMed№ 解説
ハムスターにおけるサメ軟骨抽出タンパク質の膵管癌に対する効果
2012年 J Agric Food Chem. 誌
<PubMed №22225405:英文はコチラ>
日本で、サメ軟骨から得たプロテオグリカンのタンパク質部分が、ハムスターにおけるMMP-9に対する血清阻害活性の増加および膵臓発癌の抑制に関与している可能性を示唆したという報告です。
<日本語詳細はコチラ>
マウスにおける抗血管新生および抗腫瘍活性におけるt-PA誘導の重要な役割
2011年 Microvasc Res. 誌
<PubMed №21406197:英文はコチラ>
フランスで、サメ軟骨抽出物(SCE)を3匹のマウス神経膠腫モデル(C6、HGD、GL26)に投与すると、抗血管新生作用および抗腫瘍作用がみられた。また、SCEによるt-PAの誘導は抗血管新生活性において極めて重要な役割を果たすものの、プラスミン還元因子によるタンパク質の過剰分解の抑制が浮腫を予防し、頭蓋内腫瘍の治療におけるサメ軟骨抽出物の有用性を引き出す可能性を示唆したという報告です。
<日本語詳細はコチラ>
マウスにおけるサメ軟骨タンパク質画分の免疫系に対する効果
2005年 Int Immunopharmacol.誌
<PubMed №15829412:英文はコチラ>
イランで、マウスにサメ軟骨タンパク質画分を投与すると、免疫応答を調節し腫瘍の病変サイズを縮小させる可能性があるという報告です。
<日本語詳細はコチラ>
マウスにおけるサメ軟骨由来ペプチドの抗血管新生作用の機序
2003年 J Gastrointest Surg.誌
<PubMed №14675705:英文はコチラ>
米国で、軟骨由来の血管新生阻害剤のトロポニンIペプチドの作用を、ヒト内皮細胞と膵臓癌に対してin vitroおよびin vivoで調べたところ、当該ペプチドの作用機序はおそらく他因子性であるという報告です。
<日本語詳細はコチラ>
腫瘍免疫応答に対する効果
2003年 Int Immunopharmacol.誌
<PubMed №12810349:英文はコチラ>
イランで、サメ軟骨タンパク質画分の腫瘍免疫応答に対する効果を調べ、細胞免疫応答およびT細胞の腫瘍への浸潤を増強する可能性があったことから、血管新生阻害とT細胞浸潤との間に直接的な関係があるかもしれないという報告です。
<日本語詳細はコチラ>

※PubmedよりeSURVEY翻訳・作成

■サメ軟骨の主要研究企業
研究企業名 研究内容
ユニチカ 繊維大手企業。ハナビラタケ製品も一部取り扱う。

3.その他、参考情報

サメ軟骨に関連したヒト臨床研究以外の研究ニュースとして、がん専門誌、新聞に掲載された最新記事をご紹介します。

■サメ軟骨関連の研究ニュース
タイトル・内容(発行日、紙面名) 解説
がんと情報 気になる治療法、担当医と相談を帝京大の渡辺清高准教授(腫瘍〈しゅよう〉内科)のインタビュー記事

(2016/12/27 朝日新聞)
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、渡辺清高准教授のコメントとして、サメの軟骨やアガリクスメシマコブなどを使った人の体験談をもとに有効性をうたうものも多いが、「人間での治療効果が証明されたものはまずありません」とのこと。
がん予防・食品編

(2014/10/29 毎日新聞 朝刊)
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、「がんの保管代替医療ガイドブック第3版」では、サメ軟骨、メシマコブなどのキノコ類、プロポリスなどは、「人を対象とした過去の数々の臨床試験の総合評価では、確実にがんを予防したり、治したりする科学的な根拠は得られていない」と述べているとのこと。
がんの補完代替医療 独立行政法人の国立健康・栄養研究所が、健康食品の研究成果や健康情報を公開

(2010/9/21 朝日新聞 朝刊)
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、アガリクスについては「ヒトでの安全性と有効性については、信頼できるデータが見当たらない」、メシマコブについては、「大量摂取は下痢や嘔吐(おうと)を引き起こす可能性があり、避けるべきである」、サメの軟骨については「乳がん、大腸がん、肺がん、前立腺がん、脳腫瘍(しゅよう)に効果がなかった」という情報を独立行政法人の国立健康・栄養研究所が公開しているとのこと。
健康食品のカルテ/がん患者とサプリ

(2007/5/18 共同通信(河北新報)朝刊)
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、がん患者がよく利用する健康食品(アガリクス、プロポリス、AHCC、サメ軟骨、メシマコブ)のヒトでの有効性を調べるため、国内外の科学論文を検索した結果、がんの縮小や延命効果といった直接的な治療効果を証明する報告はほとんどなかった。」とのこと。
サメ軟骨の有効性?に関する記事
(2006/05/04 朝日新聞)
記事・関連情報のリンクはありません
記事によると、厚労省研究班の調べで、調べた時点ではサメ軟骨は有効性が明瞭でないと判断したとのこと
■サメ軟骨の関連サイトのリンク
リンク先 掲載内容
独立行政法人 国立健康・栄養研究所>> 「サメナンコツ」の素材情報に、安全性・有用性の情報があります。

4.がんに関するヒト臨床研究情報<詳細>

ヒト臨床試験とは、健康食品やサプリメントなどについて、その有用性や安全性を科学的かつ客観的に示すためのエビデンス(科学的根拠)を取得するために、ヒト(人間)を対象に行う試験のことです。

■サメ軟骨関連の臨床研究報告<詳細>
タイトル・文献・PubMed№ 解説 信頼度
ステージⅢ非小細胞肺癌患者への化学放射線療法との併用による全生存期間への効果
(効果がなかったという報告)
2010年 J Natl Cancer Inst. 誌
<PubMed №20505152:英文はコチラ>

執筆者:
Lu C Department of Thoracic/Head & Neck Medical Oncology, The University of Texas M. D. Anderson Cancer Center, 1515 Holcombe Blvd, Unit 432, Houston, TX 77030-4009, USA.

Lee JJ 

Komaki R 

Herbst RS 

Feng L 

Evans WK 

Choy H 

Desjardins P 

Esparaz BT 

Truong MT 

Saxman S 

Kelaghan J 

Bleyer A 

Fisch MJ
背景:
AE-941は標準化された水性サメ軟骨抽出物であり、その抗血管新生特性は過去に第I相および第Ⅱ相臨床試験で評価されている。本試験の目的は、切除不能なステージⅢ非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に、AE-941を化学放射線療法に添加した時の全生存期間への効果を判定することであった。

方法:
化学放射線療法を受けている切除不能第Ⅲ相NSCLC患者におけるAE-941の有効性を調べるため、無作為化二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相臨床試験を設計した。2000年6月5日から2006年2月6日の期間中に、379人の適格患者が米国とカナダの地域腫瘍学センターおよび学術腫瘍学センターに登録された。2006年2月には、登録数不足のため、目標サンプル数達成前に、新規患者の登録受付を終了した。被験者全員は導入化学療法を受けた後、胸部放射線療法を併用した化学療法を受けた。各参加センターにおいて、カルボプラチン・パクリタキセル、またはシスプラチン・ビノレルビンの2つの化学療法レジメンのいずれかの投与を行った。主要評価項目は全生存期間であり、副次評価項目は、無増悪期間、無増悪生存期間奏功率、毒性であった。イベント発生時間分布はKaplan-Meier法により推定した。すべての統計的検定は両側検定であった。

結果:
AE-941併用の化学放射線療法群(n=188;平均生存期間=14.4ヵ月、95%信頼区間=12.6〜17.9ヵ月)とプラセボ併用化学放射線療法群(n=191;平均生存期間=15.6ヶ月、95%信頼区間=13.8~18.1ヶ月)との間で、全生存期間の統計学的有意差はなかった(P = .73)。無増悪期間、無増悪生存期間、奏功率においても、AE-941投与群とプラセボ投与群の間に統計学的有意差は認められなかった。2群間で、化学放射線療法に起因する共通グレード3以上の毒性に差異はみられなかった。

結論:
化学放射線療法とAE-941の併用は、切除不能ステージⅢのNSCLC患者の全生存期間を改善しなかった。本研究は、肺癌の治療薬としてのサメ軟骨由来製品の使用を支持しない。
★★★
進行がん患者におけるサメ軟骨の評価
(効果がなかったという報告)
2005年 Cancer. 誌
<PubMed №15912493:英文はコチラ>

執筆者:
Loprinzi CL Department of Oncology, Mayo Clinic and Mayo Foundation, Rochester, Minnesota 56301, USA.

Levitt R 

Barton DL 

Sloan JA 

Atherton PJ 

Smith DJ 

Dakhil SR 

Moore DF Jr 

Krook JE 

Rowland KM Jr 

Mazurczak MA 

Berg AR 

Kim GP 

; North Central Cancer Treatment Group
背景:
サメ軟骨は補完的あるいは代替的な医療介入として人気がある。その根拠になっているのは、サメの体内では軟骨の占める割合が高いため、めったに癌にならないという主張である。しかし、過去の研究ではどちらとも言えない結果が出ていた。そこで、進行癌患者におけるサメ軟骨の影響を検討するための臨床試験を実施した。本試験の主目的は、標準治療を受けている進行癌患者の全体の生存期間がサメ軟骨製品によって改善するかどうかを判断することであった。二次目的は、サメ軟骨製品の毒性、忍容性、生活の質を評価することであった。

方法:
本試験は無作為化プラセボ対照二重盲検2群臨床試験であった。被験者は良好なパフォーマンスステータスと臓器機能を有する難治性乳癌または結腸直腸癌患者とした。患者は化学療法を受けている可能性があった。すべての患者は標準治療を受けることとし、サメ軟骨製品または外観の同じプラセボ投与を無作為に振り分け、毎日3〜4回投与を行った。

結果:
評価可能患者83名のデータを分析した。サメ軟骨製品を加えた標準治療を受けた患者とプラセボを加えた標準治療を受けた患者との間で全体の生存期間に差はなかった。同様に、プラセボ投与患者と比較して、サメ軟骨投与患者における生活の質の改善は示唆されなかった。

結論:
本試験では、進行癌患者におけるサメ軟骨製品の有効性の示唆を実証することはできなかった。
★★★
ネオバスタットの腎がん患者へのフェーズII試験
2002年 Ann Oncoll誌
<PubMed No.12181250:英文はコチラ>

執筆者:
Batist G McGill Center for Translational Research in Cancer, McGill University, Montréal, Quebec, Canada.

Patenaude F 

Champagne P 

Croteau D 

Levinton C 

Hariton C 

Escudier B 

Dupont E
背景
腎細胞癌(RCC)は、血管新生の高さゆえに抗血管新生薬の標的になりうる。ネオバスタット(AE-941 : 水性サメ軟骨抽出物)は、RCCの治療に有益と思われる作用機序を有する血管新生阻害剤である。 患者および設計:ネオバスタットについて、進行癌患者における長期安全性プロファイルを特定するとともに、標準治療が無効の固形腫瘍に対する有効性に関する予備的情報を得るために第Ⅱ相試験を実施した。標準治療が無効あるいは標準治療が受けられなかった固形腫瘍患者144名にネオバスタット(60ml/日あるいは240ml/日)を経口(b.i.d.)投与した。

結果
ネオバスタットの用量が効果的か否かを判断するため、難治性RCCの一次的診断を受けた22名の患者を対象に生存期間解析を実施した。用量と生存期間との間に有意な関連性が認められた。ネオバスタットを240ml/日(n=14)投与した患者は、60ml/日(n=8)投与患者に比べて生存時間中央値が有意に長かった(16.3ヶ月に対し7.1ヶ月; P=0.01)。用量制限毒性は報告されなかった。最も出現頻度の高かった有害事象は味覚障害(13.6%)であった。

結論
60ml/日および240ml/日のネオバスタットの用量は進行癌患者での忍容性が高い。本試験で投与した高用量ネオバスタットはRCC患者の生存期間延長効果と関連性があるが、これは主要予後因子の違いでは説明できない。
進行がん患者へのサメ軟骨の安全性と有効性
(効果がなかったという報告)
2005年 J Med Food
<PubMed №9817287:英文はコチラ>

執筆者:
Miller DR Cancer Treatment Research Foundation, Cancer Treatment Centers of America, Arlington Heights, IL 60005, USA.

Anderson GT 

Stark JJ 

ranick JL 

Richardson D
目的
癌患者および慢性炎症性疾患患者は、長年にわたりサメ軟骨(SC)製剤を使用してきた。それらの有効性を裏付ける前臨床試験は少なく、臨床試験の報告は事例証拠的であった。抗腫瘍作用の機序として、直接的あるいは間接的血管新生阻害が提唱されている。従来の癌治療の代替としてSCの使用が台頭してきたため、SCの安全性と有効性を評価するために本試験を実施した。 患者および方法
治療歴のある進行癌の成人患者60名(乳がん癌16名、大腸癌16名、肺癌14名、前立腺癌8名、非ホジキンリンパ腫3名、脳腫瘍1名、原発不明腫瘍2名)が参加した。適格基準は、確定診断、従来療法に対する耐性、客観的測定可能疾患、余命12週以上、米国東部癌治療共同研究グループ(ECOG)による一般状態(PS)が0〜2、最近または併用抗癌療法を受けていない 、SCの使用歴なし、インフォームドコンセントであった。患者はベースライン時およびSC治療開始後6週目と12週目に、疾患の程度、生活の質スコア(Functional Assessment of Cancer Therapy-General [FACT-G]尺度)、血液学的、生化学的および選択免疫機能試験の評価を受けた。1g/kg のSCを3回に分けて毎日経口投与した。標準基準 を用いて、有害事象および反応を評価した。

結果
60名の患者のうち、10人名が6週目の評価前に追跡不能(LTFU)あるいは追加治療拒否(RFT)で、毒性および奏功についての評価はできなかった。6週目で安定状態であった患者3名は、その後LTFUまたはRFTであった。完全に評価可能な47名の患者のうち5名は、胃腸毒性あるいはSC不耐性の理由で試験から外された。進行性疾患(PD)が6週目に22名の患者に、12週目に5名の患者に起こった。SC療法中に5名の患者がPDで死亡した。完全奏功(CR)または部分奏功(PR)は認められなかった。試験集団全体での腫瘍進行期間の中央値は7±9.7週(平均11.4週、範囲:3.7〜45.7週)であった。評価可能な50名の患者のうち10名(20%)、あるいは治療予定患者60名の16.7%が、12週間以上安定(SD)状態にあった。腫瘍進行期間の中央値は27週で、平均は28.8±9.9週、範囲は18.6〜45.7週であった。このサブセットの中で、4名の患者でFACT-Gスコアが改善し、4名の患者では変化がなく、2名の患者で低下した。有害事象21例(グレード1が8例、グレード2が7例、グレード3が6例)が報告され、そのうち14例が胃腸関連(吐き気、嘔吐、便秘)であった。

結論
本研究の特定条件下では、単一薬剤としてのSCは進行癌の患者では不活性であり、生活の質への有益な効果はなかった。16.7%のSD率は、支持療法のみの治療を受けている進行癌患者の結果とほぼ同じであった。

※PubmedよりeSURVEY翻訳・作成

5.がんに関する動物研究情報<詳細>

動物試験とは、医学研究などのために、ネズミ・モルモット・ウサギ・イヌ・ネコなどの小動物を用いて行う試験のことです。
この試験は、ヒト臨床試験を科学的かつ倫理的に適正に行うために必要な科学的知見を、事前に収集するために行っています。

■サメ軟骨関連の動物研究報告<詳細>
タイトル・文献・PubMed№ 解説
ハムスターにおけるサメ軟骨抽出タンパク質の膵管癌に対する効果
2012年 J Agric Food Chem. 誌
<PubMed №22225405:英文はコチラ>
執筆者:
Kitahashi T Division of Applied Life Sciences, Graduate School of Life and Environmental Sciences, Kyoto Prefectural University, Shimogamo, Kyoto, Japan.

Ikawa S 

Sakamoto A 

Nomura Y 

Tsujiuchi T 

Shimizu K 

Sasabe S 

Park EY 

Nakamura Y 

Tsutsumi M 

Sato K
サメ軟骨の水抽出物を両性分子性質に基づいて、等電点電気泳動により酸性画分と塩基性画分に分画した。酸性画分をさらにエタノール可溶性画分とエタノール沈殿画分に分画した。N-ニトロソビス(2-オキソプロピル)アミンを用いた発癌処置後、ハムスターに0.4%(w/w)の各画分または精製コンドロイチン硫酸を含有する食餌を50日間与えた。酸性エタノール沈殿画分を含有する食餌のみがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9に対する血清阻害活性を有意に増加させ、膵管内の腺癌の数を減少させた。活性画分の主要構成要素はコンドロイチン硫酸を含有するプロテオグリカンであった。しかし、精製コンドロイチン硫酸は有意な活性を有していなかった。これらの結果は、プロテオグリカンのタンパク質部分がハムスターにおけるMMP-9に対する血清阻害活性の増加および膵臓発癌の抑制に関与している可能性を示唆する。
マウスにおける抗血管新生および抗腫瘍活性におけるt-PA誘導の重要な役割
2011年 Microvasc Res. 誌
<PubMed №21406197:英文はコチラ>

執筆者:
Simard B Grenoble Institut des Neurosciences, INSERM U 836, équipe 7, BP 170, F38042, Grenoble Cedex 9, France.

Bouamrani A 

ourdes P 

Pernod G 

Dimitriadou V 

Berger F
サメ軟骨抽出物(SCE)の抗血管新生作用と抗腫瘍活性は動物モデルおよび臨床試験において実証されている。SCEが内皮細胞における組織プラスミノーゲン活性化因子(PLAT)の発現を誘導し、in vitroでタンパク質の活性(t-PA)を増強させることが研究で報告されている。本研究の目的は、実験的神経膠腫でのSCEの抗血管新生および抗腫瘍活性におけるt-PA誘導の重要な役割を実証することであった。本試験で、3匹のマウス神経膠腫モデル(C6、HGD、GL26)においてSCEの抗血管新生作用および抗腫瘍作用がみられた。組織学的検査では、血管周囲のタンパク質分解および浮腫とともに、重大な腫瘍内壊死が示唆され、高用量で腫瘍体積を人為的に増加させた。従って、SCEの抗血管新生作用は、変性血管内のt-PAおよびアンギオスタチンの存在と相関していた。プラスミノーゲン経路を調節するために機能的in vivo試験を実施した。プラスミノーゲン活性化抑制因子-1(PAI-1)を過剰発現している腫瘍に対する抗血管新生作用は認められなかった。さらに、プラスミノーゲンおよびプラスミンの両方の高親和性リジン結合部位を遮断する阻害剤であるε-アミノカプロン酸(EACA、120mg/kg p.o.)との併用治療を行ったマウスにおいては、治療効果は無効になった。これとは対照的に、プラスミンをアンギオスタチンまたは他の抗血管新生フラグメントに分解するスルフヒドリル供与体であるN-アセチルシステイン(NAC、7.5mg/kg i.p.)との併用治療は、マウス生存に対するSCEの効果を高めた。皮下投与モデルにおいて、NACは高用量の軟骨抽出物によって引き起こされる腫瘍体積の増加を阻止した。結論として、本試験は、サメ軟骨エキスによるt-PAの誘導は抗血管新生活性において極めて重要な役割を果たすものの、プラスミン還元因子によるタンパク質の過剰分解の抑制が浮腫を予防し、頭蓋内腫瘍の治療におけるサメ軟骨抽出物の有用性を引き出す可能性を示唆する。
マウスにおけるサメ軟骨タンパク質画分の免疫系に対する効果
2005年 Int Immunopharmacol.誌
<PubMed №15829412:英文はコチラ>

執筆者:
Hassan ZM Department of Immunology, School of Medical Sciences, Tarbiat Modarres University, P.O. Box: 14115-111, Tehran, IR Iran.

Feyzi R 

Sheikhian A 

Bargahi A 

Mostafaie A 

ansouri K 

Shahrokhi S 

Ghazanfari T 

Shahabi S
サメ軟骨は、血管新生の阻害作用を有することが証明されている。本研究では、免疫系に対するサメ軟骨の効果を調べた。まず、免疫賦活作用の最も高いサメ軟骨タンパク質画分を単離精製した。得た画分は、それぞれ約14kDaと15kDaの分子量を有する2種のタンパク質から構成されていた。この画分は、マウスにおいてsRBCに対する遅延型過敏反応を大きく増強するとともに、ナチュラルキラー細胞の細胞傷害活性を低下させる。さらに、担癌マウスへの当該画分の腹腔内注射は、T細胞の腫瘍内浸潤を増加させ、腫瘍の病変サイズを縮小させる可能性がある。また、この画分は、フィブリンマトリックスにおけるHBMECの増殖および遊走に対して強力な阻害作用を有する。これらの結果から、この画分は癌治療の今後の研究対象候補としてふさわしいとおもわれる。
マウスにおけるサメ軟骨由来ペプチドの抗血管新生作用の機序
2003年 J Gastrointest Surg.誌
<PubMed №14675705:英文はコチラ>

執筆者:
Kern BE Department of Surgery,Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston, Massachusetts 02114, USA.

Balcom JH 

Antoniu BA 

Warshaw AL 

Fernández-del Castillo C
ウシおよびサメの軟骨中に、数種類の抗血管新生成分が確認されている。そのうちの1つのトロポニンIは、筋収縮時のアクトミオシンATPアーゼの阻害に関与する分子である。本研究では、トロポニンI(ペプチドGlu94-Leu123; pTnI)の活性部位がこのタンパク質の抗血管新生特性にも関与しているか否かを調べた。ヒト臍帯静脈内皮細胞、マトリゲル、光学顕微鏡検査、カルボキシフルオレセインジアセテート、スクシンイミジルエステル標識、フローサイトメトリーを用いて、内皮細胞管形成および内皮細胞分裂に対するpTnIの影響を調べた。また、膵臓癌細胞(CAPAN-1)によるICAM-1の誘導および血管内皮増殖因子の産生に対するpTnIの効果および、膵臓癌転移マウスモデルにおける有効性も調べた。pTnIは1pg/mlという低濃度でも内皮細胞管形成を有意に阻害し、3μg/mlのpTnI(P=0.0001)は96時間で内皮細胞分裂を阻害したという結果を得た。トロポニンペプチド124-181を対照として使用したところ、効果は認められなかった。
膵臓癌細胞株CAPAN-1から得たpTnI処理上清は、ヒト臍帯静脈内皮細胞上のICAM-1発現を最大10ng/ml pTnIまで下方制御し、最大1μg/mlのpTnIでCAPAN-1細胞を処理したところ、血管内皮増殖因子産生が有意に減少した。CAPAN-1細胞の脾臓内注射後、pTnI処置マウスは対照マウス(肝重量体重比5.5:11.1、P=0.03)と比較して肝転移数は少なかった。この抗血管新生作用に関与しているのはトロポニンIの活性領域である。当該ペプチドの作用機序はおそらく多因子性である。
腫瘍免疫応答に対する効果
2003年 Int Immunopharmacol.誌
<PubMed №12810349:英文はコチラ>

執筆者:
Feyzi R Department of Immunology, School of Medical Sciences, Tarbiat Modares University, P O Box 14115-111, Tehran, Iran.

Hassan ZM 

Mostafaie A
サメ軟骨は、血管新生、転移、細胞接着、タンパク質分解に対して何らかの阻害作用を有することが証明されている。本研究の目的は、腫瘍免疫応答に対するサメ軟骨の効果の一部を調べることであった。まず、クロマトグラフィー法と遅延型過敏症(DTH)試験を用いて、最も大きい免疫賦活作用を有するサメ軟骨タンパク質画分の分離精製手順を最適化した。次に、マウス腫瘍モデルへのCD(4)(+)およびCD(8)(+)リンパ球浸潤に対する効果を調べた。分離精製で得た画分は、それぞれ約14kDaと15kDaの分子量(MW)を有する2種の主要タンパク質で構成されていた。当該画分はマウスにおいてsRBCに対するDTH応答を大きく増加させる。さらに、この画分を担癌マウスに腹腔内注射することにより、腫瘍内へのT細胞の浸潤が増加する可能性がある。また、腫瘍浸潤リンパ球内のCD(4)/CD(8)比が有意に増加したが、そうした変化は末梢血リンパ球内ではみとめられなかった。これらの結果から、当該画分は癌治療のさらなる研究対象候補としてふさわしいと考える。また、抗血管新生作用がすでに証明されているこの画分は、細胞免疫応答およびT細胞の腫瘍への浸潤を増強する可能性があり、したがって、血管新生阻害とT細胞浸潤との間に直接的関係があるかもしれないという結論を得た。

※PubmedよりeSURVEY翻訳・作成

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